2022年12月29日

歳末の決まり事

歳末の決まり事
 
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 今日は年末の墓参りに行った。親戚の墓を含めて5軒。母が健在の頃から墓参りは盆暮と春秋の彼岸それに命日と年に五、六回来ているが、盆暮れはきまって帰りに柴又の帝釈天に寄ってお参りしてから「ゑびす家」の鰻か「大和家」の天丼を食べるのが決まりみたいなものだ。高齢の母にとっては墓参りは癒しでもあり楽しみでもあったのだと思う。そして今、自分もそういう歳になってしまった。

 帝釈天も他の寺社同様大晦日や正月三が日には参拝で相当な人出があるのだけれど、今はその準備というところだ。ぼくは特にこの年末の押し詰まった今頃の帝釈天の佇まいが好きだ。大晦日、新年の喧騒を前に境内も特設のさい銭箱など正月の用意が終わって、でも人出はまだなくちょっとひっそりとしているのが良い。母もこの風情が好きだった。

 昼飯時を少し過ぎていたので大和家には客は一組ぐらいだったのだけれど、後から子連れの外国人観光客らしい家族が入ってきて、ベビーカーがあったのでテーブルにするか子供を寝かせやすい座敷にするかおかみさんが駆けずり回っていた。年末の緩い時間が流れている。

 お店にはこれからの繁忙期に備えてバイトの若い子が三人ほど、ひとつひとつ指示を受けながらやることを頭に入れようとしている。言葉遣いや手順など細かいことまでおかみさんが教えている。書き入れ時だからそこは真剣にならざるを得ない。でも、その指示が終わると雑談なんかでまた緩い時間が戻って来る。今日は大和屋の黒いタレの天丼を食べて、煎餅と佃煮を買って戻ってきた。
 

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今年一年拙ブログをご訪問頂きありがとうございました。
来る新しい年も、皆さまにとって良い年でありますように。
良いお年を!
 

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posted by gillman at 11:41| Comment(16) | 新隠居主義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年12月18日

空が

空が

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 今日の公園は空が素晴らしい。まるで夏を想いだしたような湧き立つ雲の西の空、波のような雲のうねりの東の空、そして今にも降ってきそうな黒いカーテンが頭を押さえつけるような北の空。それが一つの空の中に共存している。この公園の素晴らしさは今頭の上に目いっぱい広がっている空だと思う。

 考えてみたらぼくは生まれてこの方、若い時のごく短い時期を除いてずっと東京の下町に住んでいたから、視界にビルや山など空を遮るものが見えないのが当たり前だった。朝起きたら目の前に山がそびえたっている土地での生活も憧れはするが、広い空を見つめる生活も悪いものではない。

 子供の頃は近所の原っぱでみんなで遊んでいる時も、頭上には広い空が広がっていた。その視界の中に見えたのは家のすぐそばにあったお化け煙突と風呂屋の煙突だけ。東京タワーが出来るまではそのお化け煙突が東京で一番高い建築物だった。今も頭上の広い空はぼくの原風景だ。

 小学生の頃は空はまだそれ程汚れてはいなかったけれど、大人になるにつれて公害が問題になるほど空も水も汚れてきた。日本がもがき苦しみながらでも、いろいろな犠牲と克服の努力の末にきれいな空を取り戻したのは誇れることだと思うけれど、今度は地球温暖化という季節をも変えてしまう、しかも一国だけでは対処できない変化に直面している。天を仰いでため息をついていても始まらないが…。
 
 ■ 寒い雲がいそぐ (種田山頭火「鉢の子」)
 

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posted by gillman at 17:00| Comment(8) | gillman*s park | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年12月10日

海に触れる旅

海に触れる旅
 
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 実に数年ぶりに温泉旅行に行った。大学時代からの親友が車を買い替えたので慣らし運転を兼ねて二泊三日の房総の温泉旅行に誘ってくれた。気の置けない友人との二人旅はいつもカミさんと行く旅行とはまた一味違った楽しさがある。

 養老渓谷の温泉で一泊、二泊目は千倉温泉。千倉温泉では旅館の離れをとってくれたので落ち着けた。その部屋は松本清張が小説を書く折に40日間宿泊したり、画家の安西水丸氏や村上春樹氏も泊ったらしい。広くはないけれど落ち着いた部屋だった。ただ、久しぶりにベッドでなく布団に寝たら夜中トイレに起き上がるのが大変なことに気づいた。歳だなぁ。

 短い間だったけれど今回の旅行で一番良かったのは海が見られたこと。シーズンオフで誰もいない海に小春日和の日差しが差し込むのどかな光景は、コロナのお籠りで凝り固まった心を和らげてくれた。

 鯛の浦の海辺のがらんとした駐車場。穏やかな小春日和の海がキラキラと煌めいていた。ドライブ中たまたま立ち寄った喫茶店で近くに青木繁が名作「海の幸」を描いた折りに住んでいた部屋があるということを知りその喫茶店のマスターに案内してもらった。そう言えばあの名作を描いたのはここ布良(めら)の海岸だった。

 明治37年の夏、22歳の青木繁は画友の坂本繁二郎森田恒友福田たねと共に地元の漁師頭の家でひと夏を過ごした。さして広くないこの座敷で四人の若者が日本の黎明期の洋画を巡り熱い芸術論議を戦わせていたかと思うと感慨深かった。

 帰りにはアクアラインうみほたるから広々とした東京湾を眺めることもできて海の眺めを満喫できた。久々の楽しい息抜きだった。
 
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 ※旅館の食事は美味しくかつ充実してというか、充実し過ぎていて年寄りにはちょっと多すぎかも…でした。時間をかけても全部は食べられなかった。旅情にはいささか欠けけますが、フードロスを考えると食べたい料理と食べきれる量を選べるバイキング方式が合理的なのかもしれないですね。でも、三日でしっかり体重1キロ増。今日からまた体重調整に励まねば。


posted by gillman at 15:12| Comment(6) | 新隠居主義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする