2023年02月19日

あれは三年前…

あれは三年前…
 
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 「あれは三年前…」というのは50年前にヒットした、ちあきなおみの代表曲「喝采」の一節だけれど、今でもそのフレーズが頭に残っている。この写真を撮ったのがちょうど三年前、2020年1月15日。奄美大島久根津の海岸を朝散歩している時に撮ったものだ。湾のようにちょっと奥まった海の水面は鏡のように凪いでいた。

 コロナ前は冬か春先には毎年沖縄に行っていた。でもその年は田中一村美術館に行きたかったこともあって奄美大島で友人と落ち合って一週間ほど島を旅することにしていた。南国であることは共通しているけれど奄美は沖縄とはまた違った趣きがある。
 

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 その時は主に島の南部に滞在したのだけれど、天気は南国と言っても真冬の事で肌寒く感じることもあった。鈍色の空が低く垂れこめ時折吹く風は冷たく感じる。清水(せいすい)という村の大島海峡をのぞむ食堂のテラスから見る海は静まりかえっていてとても印象的だった。旅情と言う言葉がふさわしい時の流れ。旅をしていると時々こういう珠玉の時の流れに身を任せることが出来るのが旅の醍醐味でもある。

 旅に出るとぼくだけでなく大抵そうなんだと思うけれどあまりニュースを見たりしない。もっともその時は内地でもまだニュースにはなってはいなかったみたいだけれど、後で知ったのだが1月15日と言うのは日本で初めて新型コロナの患者が認識された日らしい。新型コロナ日本上陸の事が初めてニュースになったのはいつかは知らないけれど、とにかく奄美にいるときには思ってもいなかった。

 奄美での最後の日は名瀬のホテルに泊まったのだけれど夜になってのどの痛みがひどくて中々寝付かれなかった。結局1月21日には飛行機で東京に戻ったのだが、帰りの飛行機はLCCで中国人の観光客やらで機内は満席に近かった。で、東京に戻った翌日に高熱を出して完全にダウンした。医者に行ったらインフルエンザと診断されたが、その頃マスコミでは新型コロナの話題でもちきりだつた。

 新型コロナの日本での発端は中国人観光客だの云々…。とっさに帰りの飛行機の状況が頭に浮かんだが、その時はまだ新型コロナの検査体制も全くなくてインフルエンザと言われたのでそれを信じるしかなかった。正直言って回復するまでは気が気ではなかった。そう、あれは三年前…。もうそろそろ解放されたい。
 
 
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posted by gillman at 16:41| Comment(7) | 新隠居主義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年02月10日

キッチンの調理監視団

キッチンの調理監視団
 
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 カミさんの骨折を機にぼくも毎日料理をするようになって一年ちょっとが過ぎて、今ではカミさんの腕もほぼ治って料理もできるようになったのだが、ぼくも毎日夕食の時はキッチンに立っている。まだ自分で全ての献立を決めるようにはなっていないけれど、一品は作るようにしている。

 最初は良くぶつかっていたキッチンでのカミさんとの動線も何となく交差しなくなったのと、自分で書いておいたメモを見ないでも作れるようになってきたメニューも増えてきたというのが進歩といえば進歩かも知れない。

 新米料理人に対して今でも時折カミさんの厳しい目が光ることがあるけれど、それ以外にも目を光らせている者がいる。キッチンの見学者というかぼくは厳格な調理検査官(strict cooking inspector)と呼んでいるけれども、毎回のように調理をしているぼくの目の前で目を光らせている。
 
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 そもそも見学に来るようになったのはハルが最初で、好奇心が強いからぼくがキッチンに立つようになって何をしているんだろうと訝ってそばに寄ってきて観察するようになった。最初はカウンターに上がらずに前に置いたテーブルの端から見ていたのだが、そのうちカウンターに上がってきてしげしげと見るようになった。今は腰を落ち着かせて腕組みして見ている。

 その内レオも何だろうと思ってか、近づいて来るようになった。レオが近づいて来る理由はハルのように好奇心からではなくて、自分に隠れてハルが何か美味しそうなものを貰っているのじゃないかという気持ちからなのは、その態度でみえみえなのだけれど…。

 猫たちは先にご飯をもらっているのでハルは純粋に好奇心で見ているのだが、レオは調理の肉なんかがまな板に乗ると、当然自分の分け前もあるものだと思い込んでソワソワしだす。手は出さないがこちらは包丁を持っているので気が気ではない。一日も早くこの厳しい二人の調理監視団の調理検査官に合格をもらって一人前の主夫になりたいものだ。
 

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posted by gillman at 14:43| Comment(11) | 猫と暮らせば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年02月02日

正義の対決 Akihabara

正義の対決 Akihabara
 
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 秋葉原は会社勤めをしていた頃はオフィスに近いこともあって週に二回は行っていたような感じだけれど、会社を辞めてからはそんなに頻繁には行かなくなった。それはもちろん時間のある時にちょっと立ち寄るということが出来なくなったこともあるけれど、それよりも電気街からオタク文化のメッカへと秋葉原という街が大きく変質していった事について、ちょっとついていけなくなったということの方が大きいと思う。(ただし、駅前の昔のラジオ会館には以前からそういうオタッキーな要素はあったけれど…)

 今でも月一位いは行っているかもしれないけれど、それは駅の昭和通り側にあるヨドバシカメラが主で、昔のように駅の反対側の旧電気街の方に足を踏み入れることはめっきり少なくなってきた。ぼくはオタク系ではないけれど、スターウォーズやバットマンやマーベル系のフィギュアも好きで…、ただそこらへんも含めてぼくの関心領域のカメラ、写真関連、オーディオ、フィギュアそしてパソコン関連という領域がその大型店一店で満たされるというのが自然とそこに足が向いてしまう大きな理由かもしれない。

 そのヨドバシカメラの店頭のイベントスペースで見かけたのがこの写真の等身大のフィギュアで、それは当時封切られた映画、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016公開、原題:Batman vs. Superman: Dawn of Justice)でそのプロモーションイベントだった。面白いのでその時持っていたスマホで撮ったのがこの写真なのだけれど、残念ながら映画自体は観ていない。観ていないので、ここからは勝手な想像なのだけれどバットマンもスーパーマンもどちらも正義の味方なのでその二人が対決するということは二人の正義の捉え方が違うことから起きるのだろうと…、自分の正義を貫くために。

 しかし映画解説を読むと、そうではなくて実際にはスーパーマンは大事な人を人質に取られて、そしてバットマンはそそのかされて、というどちらも正義のための戦いではなく、意思に反して戦わされていたという事なのだけれど…。しかし歴史を見ると、どちらも正義を標榜して戦うのはよくあること、というよりは戦争はいつだってそういう形で行われてきた。

 正義に関する難しいことはぼくにはよく分からないけれど、マイケル・サンデル教授の「これからの正義の話をしよう」はとても示唆に富む著書だった。もちろんそこに明確な結論というものがあるわけではないけれど、そこではいわゆる正義すなわちコミュニティの善というものにもっと注意を払う必要を説いているのだと思うが、それは主にいわゆる社会正義のようなものに関わってくるのではないか。

 ぼくは正義とは本来、自由だとか、人権だとか、個人の尊厳だとか、そういうものについてのあり方なのだと思うけれど、どうも国家が「正義」ということを言い出し始めるとそれは、民族の誇りだの、自国の繁栄だの、自国文化の優位性だのへと、何か違うものとすり替えられてゆくように思えてならない。今も世界中で多くの人を巻き込んで正義の対決が行われているけど、国家が正義、正義と声高に言い出し始めたら国民は冷静に身構えて用心した方がいい。その内、気が付けば国民が逆らえない正義が独り歩きしているかもしれないから。
 

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posted by gillman at 10:52| Comment(6) | Ansicht Tokio | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする