2023年08月30日

盛夏

盛夏

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 元来、盛夏と言えば梅雨明けから八月中旬くらいまでで、今頃の時候は残暑とか晩夏とかの表現がふさわしいのだろうが、今年はどうしてどうしてまだ盛夏、それも夏の真ん中みたいな気になる。うんざりだけれどこればかりはどうすることもできない。蓮池をのぞくと池の上にはまさに盛夏の空が写りこんでいた。

 その日は作夜来の雨があがって台風一過とはいかないが、晴れて少し涼しい風が吹いていて気持ちいい朝だ。季節は時には牙をむいて襲って来るけれど、人に力も与えてくれることがある。多少苦しい思いはしても毎朝この蓮池に来るのが楽しみで、その度に季節に力を貰っているような気がする。

 池の畔の落羽松の林にはたくさんの気根が地上に顔を出しているので、よちよち歩きの自分は気を付けないと足をとられる。昨日の雨で、大分水位が下がっていた池も元に戻って、通路にはそこここに水溜りが出来ている。木漏れ日の向こうの小さな丸い空。
 
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 半年近く途絶えていた公園散歩を半月くらい前にやっと再開したけど、なかなか思うようにはいかない。早朝散歩に出て痛みをこらえながら今日はやっと池の北側のベンチ迄辿り着いた。ここはぼくの以前の散歩コースの最後の休憩処だったのだけれど、今のぼくには辿り着くべき一つの目標になっている。調子がいまいちの時は此処にも辿り着かない。

 それもショートカットのズルをしての到着で、今までは渡らなかった信号を渡って池に向かう。それでも、以前通りの光景と静謐な時間に浸れるのはほんとうにありがたいことだ。池の向こうに広がる空に真夏の証しの雲が浮かんでいる。お散歩カメラはまだ持って歩けないのでスマホで我慢だけれど、それでもシャッターを押す喜びは蘇って来る。

 今まではほんの目と鼻の先にあると思っていた場所がどんどん遠ざかっていった。公園も今までは入り口まで数分で行けたのが、今はまずはその入り口までたどり着くことが大変な作業だ。やっと今までの散歩の終着点である池の畔のベンチ迄辿り着けるようになったけど、それは何度もの休憩を挟みながら痛みとの妥協点を探りつつの道のり。でもここのベンチはぼくにとってそれだけの価値がある。毎朝、この静謐な空気に出会えるというのは、それだけでも感謝しなければならない。この光景に元気をもらって前を向いてリハビリに励みたいと思っている。


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 ■ 鯉池の 底に鯉の歯 夏旺ん (辻桃子)


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 *前の日の晩雨が降って、明日の朝は雨だろうと勝手に決めて寝たのだけれど、朝起きたら晴れていました。散歩をサボれると思ってちょっとがっかりしたけれど、ステッキをついて家を出だします。出るまでは億劫だけれど蓮池の処までくれば来て良かったと思うのだけれど…。

 腕にはめているスマートウオッチが何度も耳元で「心拍数が早すぎます、呼吸を整えて下さい」と連呼します。少し立ち止まってから息を整えてまた歩き出す。以前の歩幅は65センチくらいだったが、今は45センチくらい。よちよち歩きのレベルかなぁ、と。まぁ、前を向いている限り何とかなると思っていますが…。


 
posted by gillman at 16:43| Comment(8) | gillman*s park | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする