2024年08月17日

猫を巡るアフォリズム Aphorisms on Cats ~その47~ 注文の多い置物

注文の多い置物
 
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 ■ 平穏の理想形は座る猫の姿の中に存在している。(ジュール・ルナール)
  The ideal of calm exists in a sitting cat. (Jules Reynard)
 
 アメショーのハルがウチに里子に来て六年が経つ。引き取られたときに二歳だったから今年で八歳になるのだけれど、最近は5キロ越えの大猫の部類に…。肥満がちょっと心配だが毎日二度の目薬をさす以外はいたって元気だ。モモレオが居て賑やかだったご飯タイムも今は一人で寂し気だ。

 ハルは今は絡む相手もいないから寝ていることが多い。昼寝をするのにお気に入りの場所は何カ所かあってそこにいることが多いのだけれどいつも眠っているとは限らない。特にお気に入りの出窓に座っている時にはジッと遠くを見つめていることが多い。

 猫が前脚を胸毛の内側へ折り曲げて座るスタイルを「香箱座り」というらしいのだが、その姿は安定していてルナールの言うようにいかにも平穏で静謐な印象を与える。ウチのハルもよくその香箱座りをしている。そんな姿を見るとぼくも癒されて猫時間に包まれてしまう。

 猫時間に包まれてぼくもまったりしている時、ハルがいきなりすっくと立ちあがってぼくの方にやってきてぼくの脚に身体をこすりつける。時には体当たりしてくるような勢いで。そういう時は必ず何かのお願いなのだ。おやつかお水か、トイレの掃除か、まぁ大抵はブラッシングの要求だ。

 レオが何か注文があるときには真っすぐぼくの方にやって来て顔を見つめてニャーと鳴いたのだけれど、ハルは一切鳴かないのでこの体当たり作戦なのだ。アート作品の置物のような静的な姿からいきなり、活発なおねだり猫になるギャップがまた何とも可愛い。
 

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 *ルナールの名著「博物誌」には、紹介されている各動物のところにシンプルな筆書きの挿絵が載っています。上の猫のイラストも猫の項目の処に載っていたものです。とてもシンプルですが猫の特長が鋭く捉えられていてぼくの大好きな挿絵の一つです。実はこの挿絵を描いたのはあのボナールなんですね。それにしても、旨いなぁ。
 

posted by gillman at 14:47| Comment(5) | 猫と暮らせば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする