2024年10月26日

巡礼みたいに

巡礼みたいに
 
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 長い旅に出るのは実にコロナ以来久しぶりの事だ。今月で手術してから丁度一年になる。旅に行けることを一つの目標にしていたので行けたのは良いけれど、それよりも見切り発車で行ってしまったという方が正しいかもしれない。ステッキをついてドイツの石畳の道を歩き回るのは苦行のように思えたときもある。何だか巡礼みたいだな、と。

 とは言えそれは一つの区切りにもなったことは確かだ。今回訪れた街は殆どが以前にも訪れた処がほとんどなのだけれど二十数年ぶりの街もあれば、中には五十余年ぶりの街もあったりしてその間に変わったもの、変わらなかったものが心の中を去来した。アーヘンの大聖堂のステンドグラスはこんなにも美しかったのかと改めて感動した。若いころ見たときには確かにすごいけれどこんなに感動した覚えはなかった。パリのノートルダムの薔薇窓にもこれほど感動はしなかった。

 逆にマウルブロンのクロスター(修道院)は若いころ訪れてこれこそぼくの心に描いていてたドイツそのものの姿だと感動もし、ずっとそこに居たいと願った場所だったのだけれど、世界遺産に指定されたらしい現在はそういった空気、雰囲気は残ってはいなかった。何だか見てはいけないものを見てしまったような…。自分も観光客として来ていながらそれは矛盾しているけれど、特に21世紀に入って顕著になったオーバーツーリズムというものが、その土地の空気を攪乱し陳腐なものにしてしまっている気はした。

 自分が青春を過ごした静かな街だったハイデルベルクも丁度秋祭りの時期だったとはいえ、町中がまるでディズニーランドのようでどこにも日常の生活臭は残っていなかったのは寂しかった。当時学生の頃は憧れだった目抜き通りの伝統的高級ホテルZum Ritterで昼食をとったけれど、混みあっていてそそくさと急がされて感傷に浸っている間はなかった。恐らくはもう訪れることもないこの街に別れを告げる時、もう少し静かな時期に来ればよかったかな、と。ドイツも大きく変わった気がする。コロナ以前は主に旧東ドイツ地区を旅することが多かったので南部、南西部ドイツは久しぶりなのでよけいに感じたのかもしれない。
 
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posted by gillman at 14:36| Comment(5) | gillman*s Lands | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする